心霊現象 研究同好会


【 諏訪 芽衣子side 】


………

……




桜井先輩が倒れた。 という話を聞き、梨乃先輩と郁也先輩が家を出発したあと、

【 寝言で諏訪のこと呼んでたよ 】というメッセージが如月くんから届いた。

そこに添付されてたのは、無防備な顔で眠る桜井先輩の写真だった。


その写真を見ながら、僅かに下唇を噛む。

……私は、先輩の体調には全然気づいていなかった。

さっきまでずっと、玄関で二人で話していたのに……。


ううん、いつもと様子が違うっていうのは気づいてた。

でもそれは先輩が「色々考えてることがある」と言っていたからだと思った。

それ自体は、もちろん本当のことだろう。

だけど体調が悪いということには気づけなかった。

そんな状態なのに、私は先輩と二人で屋外で過ごして……無理を、させてしまっていたんだ。



「……先輩が倒れたのは、私のせいかもしれない……」



と、言葉が漏れる。

それを聞いた沙綾ちゃんが、「そんなことないでしょ」とすぐに言った。



「桜井先輩がいつから具合悪かったかは知らないけど、私の目には「普通」に見えたよ。 多分みんなもそうでしょ?」

「うんうん、私も全然 体調が悪そうには見えなかったよっ」



穂乃果ちゃんも沙綾ちゃんに同意し、龍泉寺くんもまた頷いた。



「俺も、桜井先輩が具合悪そうだなんて思わなかったよ。 まぁ、蒼葉や諏訪さんに聞いてたよりも物静かな人なんだなぁっては思ってたけどね」

「あ、それは確かにっ。 落ち着いた雰囲気の、優しそうな先輩だなーって思ったっ」

「うん。 諏訪さんは「二人で外に居たせいだ」って思ってるだろうけど、イコールそれが原因だ、ということにはならない。 きっと、もっと色々複雑なことが重なってこうなったんだと思う」



……たとえそうだとしても、それでもやっぱり責任は感じてしまう。

私がもっと早く気づいていれば、先輩を早く休ませることが出来たのに……。


< 253 / 283 >

この作品をシェア

pagetop