心霊現象 研究同好会


会話をする中で、倉本くんに少しずつ覇気が戻っていった。

……そうだよね。

ただヘコんでたって先輩の「今」が好転するわけじゃない。

だったら私たちは、「先」を考えて動くしかない。


今後、桜井先輩が無茶をしないように。

無茶を、させないように。


だから私も、なんとか必死に声を出す。



「あのっ…サイトで「成果なし」だった場所を、もう一回調べたりとかもどうかなっ……? サイトの最初の方の記事って、ほとんど全部 桜井先輩が一人で行ってたみたいなの。 だから今度はみんなで行ったら、もしかして違う結果になるかもしれないし、って思ったんだけどっ……」

「それも採用っ。 いいじゃん、思いつくことどんどん話してやっていこっ」



と嬉しい言葉を貰い、ホッと息を吐く。


──その後、私たちはそれぞれ思いつくままに案を出し、多くのことを話し合った。

自分たちに出来ることを探して、ただただ必死に。



そうやってるうちに、桜井先輩の家に行った梨乃先輩と郁也先輩、そして如月くんが家に戻ってきた。

桜井先輩はまだ眠ったままらしいけど、状態はそこまで悪くはない。 ということを聞いた。

明日にはきっと復活してるはず。 と言う郁也先輩の言葉に みんな安堵する。


そしてそのあとは、私たちがこれまでの間に考えたことを先輩たちに話した。


梨乃先輩は「写真整理にも飽きてきたから良いかもっ」と笑い、

郁也先輩は「逆にみんなも無茶しすぎないようにね」と微笑み、

如月くんの「出来れば俺はあんまり怖くない調べ物でよろしくお願いします」という言葉に場は笑いに包まれた。


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