心霊現象 研究同好会
「あの時の様子を見てた俺から言わせれば、「寝ぼけてたから」で済ますのは先輩が可哀想すぎるよ」
「……」
「……まぁ、実際にどうなのかは知らないけどね。 急に変なこと言ってごめん。 写真見ていこ」
「……うん」
戸惑いの中で、作業を再開する。
淡々と、必要最低限の会話以外はない。
だからこそ……無言の時間が続くと、他のことが頭の中を支配する。
桜井先輩の寝顔の写真。
そして「諏訪を呼んでた」という証言。
如月くんが放った、「先輩が可哀想すぎる」との言葉……。
……桜井先輩は、どうして私を呼んだんだろう。
何を、思っていたんだろう。
──「……今ね、ちょっと色々、考えてることがあって。 それがこう、頭の中であちこちに散らばっちゃってる状態で。 ちゃんと一箇所にまとめたいのに、上手くまとまらない。 そういう感じがずっと続いてるんだ」
……玄関ポーチに並んで座っていた時の、先輩の言葉を思い出す。
もしかしてそれは、私に関連するようなことだったのだろうか?
先輩の頭の中に「私」が居たから、寝言で出た名前が私だった……?
仮にそれが正解だったとして……その理由は、何?
いつもより口数が少なくて、元気がなくて、どこか迷ったような表情で……。
先輩にそういう顔をさせてしまっていたのは、私が原因……?
……私はここ最近のことで、たくさん心配をかけてしまった。
だから先輩は、私のことを色々と考えているのかもしれない。
私が、無茶ばかりをしてるから……。