心霊現象 研究同好会


「……諏訪、大丈夫?」

「あ……ごめん。 ちょっと、色々考えてて……」



気がつくと、隣に座ってる如月くんが真っ直ぐに私を見ていた。



「「色々」って、桜井先輩のこと?」

「……うん」

「答えは出た?」


「……」



思い当たることは、ある。

でもそれが答えかどうかはわからない。

答えを知るには、桜井先輩に直接聞く以外はない。

だけど……聞くのが、怖い。

先輩を苦しめてるのは私ですか? なんて…聞けないよ……。



「……なぁ、あとで桜井先輩の家に一緒に行かない?」

「え……?」



如月くんが、ふっと笑う。



「実はさ、午後なったらもう一度 桜井先輩の家に行く予定なんだ。 ほら、体の様子はどうかなーっていう確認に。 と言っても行くのは神代先輩なんだけど、その役目を俺たちが引き受けない?」

「……私たちが?」

「もしも先輩が話せそうな状態なら、二人で色々と話した方がいいと思う。 一人で悩んでるよりも、先輩と直接 話した方が絶対にいいよ」


「……でも……」

「色々と話しづらいかもだけど、でもいつかはきっと話さなきゃいけないことだろ? だったら少しでも早い方がいい。 って、俺はそう思うよ」



……確かに、ギクシャクした状態が続くよりは早く話した方がいい…のかもしれない。

だけど桜井先輩は玄関ポーチで「大丈夫」と言って、私との間に線を引いた。

だから私はそれ以上は聞けなかったし、「私が原因かも」と気づいた今は、もっと聞けなくなった。

そんな状態で会っても、結局はギクシャクしてしまって……もっともっと、酷い状態になってしまうかもしれない。


……桜井先輩との距離が変わってしまう。

それが、ひたすらに怖い。


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