心霊現象 研究同好会
「つーか先輩、それなら俺も今度どっか連れてってくださいよ。 俺が一緒に居なかったら先輩は一人で路上で倒れて、発見が遅れたら最悪死んでたかもしれないんですかね? 俺にこそ感謝の意を示してくださいっ」
「あっ……それはもちろんっ。 どこがいいっ? やっぱり肉っ? 肉にするっ?」
「じゃあ、トンカツの美味しい店。 普段行くチェーン店じゃなくて ちゃんとしたお店でお願いします。 あ、でも高級すぎるところは怖いんで、高校生でも違和感なく入れそうな店ってことで」
「オッケーオッケー、調べとくっ」
「よろしくお願いします。 ほら、諏訪もリクエストしとけ? 美味い店にタダで入るチャンスだぞ?」
と、違和感なく言えた…かな?
俺が先輩におねだりすることで、諏訪も先輩と二人でご飯に行きやすくなるはずだ。
先輩はそんな俺の言動の意味を理解してるみたいで、俺を見ながら滅茶苦茶ありがたがっている。
そんなキラッキラな目で俺を見なくていいから、何か諏訪に声かけたらいいのに……。
仕方がないから、俺が諏訪に問う。
「諏訪は何食いたい?」
「えと……」
「遠慮せずに言ってみ?」
「……じゃあ、あの……オムライス……」
「だそうですよ、先輩?」
諏訪が答えてくれたから、ようやく俺の役目が終わる。
その答えを聞いた桜井先輩は、俺を見てた時よりももっともっと目を輝かせながら諏訪を見た。
「うんっ、そっちも調べとくっ。 楽しみにしててっ」
「あ、あのっ……私も高級すぎるところは困るのでっ……」
「わかってるわかってる、ちゃんと入りやすい店を探しとくからっ」
「……よろしくお願いします」
まだ少しぎこちなさがあるけれど、それでも諏訪は先輩を見て微笑んだ。
今はきっと、それで十分だ。