心霊現象 研究同好会
──そのあと俺たちは、今日の活動のことを色々と話した。
同好会のメンバーそれぞれがそれぞれに出来ることをして、桜井先輩の負担を減らす。
だから先輩も一人で気負わないでくださいね。 と、念を押す。
それを聞いた先輩は、「みんなにも ちゃんとお礼をしないといけないね」と微笑み、「ありがとう」と頭を下げた。
その後、「もう少ししっかり休んでください」と伝え、俺と諏訪は帰ることにした。
先に諏訪が外に出て、俺も外に…というタイミングで桜井先輩に腕を掴まれ、視線が交差する。
「ありがとう、裕翔くん」
……名前呼び。
意識が朦朧としてだろう あの時と同じ呼び方だ。
「先輩……午前中のこと、覚えてるんですか?」
「うん、弱い部分見せちゃってごめん。 ていうか、八つ当たりみたいに言っちゃってごめんな」
「……いえ、大丈夫です。 つーか俺、諏訪とは良い友達ってだけなので。 あと、残念ながら俺はモテません」
「えーこんなに良い奴なのに。 女子たち見る目なくない?」
「いやほんと、マジで俺もそう思いますよ。 メッチャ良い奴で優良物件なのに……」
なんて言いつつ、二人で笑い合う。
……っと、あんまり諏訪を待たせるわけにはいかないから、もう行かなきゃ。
「先輩、もっと話したいのはやまやまなんですが、俺そろそろ行きますね」
「あ、うん、そうだな。 じゃあまたな、如月」
「はい、また」
苗字呼びに戻った。
別に名前で呼んでくれてよかったのに。 と思ったけど、今は諏訪と合流するのを優先しよう。
俺たちから離れたところで待ってる諏訪は、心なしか不安そうな顔してる。