心霊現象 研究同好会
「ほら先輩、諏訪にも声がけっ」
「あっ……諏訪ちゃんっ、またねっ。 来てくれてありがとうっ」
と慌てて声をかけた先輩に、諏訪はペコリと頭を下げた。
それから俺は諏訪と合流し、離れた場所に居る桜井先輩に手を振った。
「あんまり無茶しないで、ちゃんと寝てくださいねっ?」
「わかってるっ。 如月も色々ありがとうっ」
ブンブンと手を振り返す桜井先輩を見て俺も諏訪も笑い、その後 帰路につく。
「……って、諏訪と先輩 全然話してなかったじゃんっ……」
と、先輩の家からだいぶ離れたところまで来て思い出す。
「ごめんっ、「二人で色々話した方がいい」って言ったのは俺なのに、トンカツ屋の話とか同好会の活動の話で終わっちゃってた……!!」
「あっ……いいのっ、むしろ如月くんに喋らせてばっかりでごめんねっ。 私、全然自分から話せなくて……如月くんが色々と話してくれたから、凄く助かったよ」
「……でも、ごめんな」
「ううん、大丈夫。 先輩とは…話せそうな時に話すから」
「そっか。 ……もしも先輩に酷いこと言われた時は、すぐ俺に言えよ? その時は俺が先輩をぶん殴りに行くからさ」
「ふふっ、ありがとう」
諏訪は、穏やかな笑みを浮かべていて……落ち着いた表情をしている。
だけどそれは「いつも」とは違う。
元気いっぱいの諏訪に戻るまでは、まだ時間がかかりそうだ。