心霊現象 研究同好会
動画の中の彼らを見たら、そういったことも全部 蘇ってきた。
私にあんなことをしときながら、なんでもないような顔で笑ってる。
アイツらにとったら「そんなことで」なんだろうけど。
だけど私は、とても傷ついた。
傷ついたのに彼らはそのことを知らない。
それが凄く…凄く惨めで悲しくなる。
「……凄く個人的なことなのに、動画を止めちゃってごめんなさい」
泣きたくなるのをグッと我慢しながら、なんとか笑顔を取り繕う。
「……彼らが映ってる場所って、多分 地元のどこかだと思います。 だから私、今回はちょっと行きたくないです。 なので……──」
「うん、予定変更して別の場所に行こう」
「──……え?」
「ここには誰も行かない。 それでいいよ」
私の頭をポンポンと叩いた桜井先輩が、フゥー……と深く息を吐いた。
「諏訪ちゃんの出身地のこと、もっとちゃんと聞いとけばよかったね。 ごめん」
「……いえ、あのっ……私は行けないですが、皆さんで行ってきて大丈夫ですよっ? それにほら、管理してる人にも許可を貰ってるって言ってたじゃないですかっ。 そういうのって凄く手間がかかるだろうし、許可してくれた人にも悪いですし……。 そもそも私が入会する前から行く場所を決めてましたよね? だったら尚更、私のことは気にしなくて大丈夫なのでっ……」
「うん、でも俺はもう行かないし、他のメンバーにも行かせない。 会長の俺が決めたんだから、それでいい」
また、頭をポンポンと叩かれる。
とても優しく……穏やかに。
「言いにくいことを言わせちゃってごめん。 でも、話してくれてありがとう」
「……私、本当に大丈夫ですよ? それでも…行かないんですか……?」
「んー。 正直、幽霊が居るのなら会いには行きたいけどね。 でも俺、その町に行ったら動画の奴らを探し出してボコボコにしちゃうと思う。 ていうか確実にするね。 俺が警察に捕まるのを見たいなら、行ってもいいけど?」