心霊現象 研究同好会


私と二人で入店した桜井先輩を見つけた時に、オーナーの奥さん?は一瞬凄く驚いた顔をしたけれど、そのあとはニコニコと笑っていた。

それに対し、桜井先輩も笑顔を見せて小さく手を振って応える。


先輩は「茶々入れられるかも」なんて言ってたけど、全然そんなことはなく。

他のお客さんと同様の接客を受け、それ以外の接触はない。


唯一他のお客さんと違ったのは、注文した料理が運ばれてきたあとの「健吾くん、ゆっくりしていってね」という奥さんの優しい言葉。

それから奥さんは私を見てニコッと笑い、ひらひらと手を振ってから厨房の方へと戻って行った。



「……凄く、優しそうな人ですね」

「まぁ、いつもはもうちょっとうるさく絡んでくるんだけどね。 柄にもなく気を使ってくれたみたい。 さ、あったかいうちに食べよう」

「ふふっ…はい、いただきますっ」



私が注文したのは、以前に言った通りのオムライス。

サラダとスープのセットで、食後にはコーヒーもつくみたい。

トロトロの卵とデミグラスソースのコントラストがとても綺麗で、食欲をそそられる。


そして先輩が頼んだのは、「ayaスペシャル」という人気メニュー。

一つのお皿に、デミグラスソースがたっぷりかかったハンバーグと特大のエビフライ。 フライドポテトにナポリタンも乗っている、いわゆる「大人のお子様ランチ」だ。

こちらもサラダとスープ、食後のコーヒーがセットだ。



「オムライスもそうだけど、先輩の方のも全部 凄く美味しそうっ」

「そうだろー? そんでこのデミソースがマージで美味いんだ。 ほら、食べて食べてっ」

「はいっ」



スプーンですくい上げたオムライスを、パクッと口に運ぶ。

……メッチャ美味しいっ。

トロトロの卵の味がいつも家で食べる卵よりも断然濃くて、それに合わせるデミグラスソースはもっとしっかりと濃いめの味なのに、全然しつこくはなくて。

中のケチャップライスのほのかな酸味とも合ってて、ほんっとに美味しいっ。


< 274 / 283 >

この作品をシェア

pagetop