心霊現象 研究同好会


「……すっごく美味しいっ。 こんなの初めて食べたっ……!!」



……って、少し声が大きくなっちゃった。

でも周りのお客さんも和気あいあいとした雰囲気で食事を楽しんでいて、私と同じように「メチャクチャ美味しいねーっ」と感動した声を上げてる人も居る。

私一人が騒がしいわけじゃないみたいでよかった……。



「先輩、これっ…ほんっとうに美味しいですねっ」

「気に入った?」

「はいっ。 毎日でも食べたいくらいですっ」


「ふふっ、よかった。 自家製プリンも絶品なんだけど、あとで頼む?」

「わぁっ、是非っ。 あ、でもオムライスもサラダも凄いボリュームだから、ご飯だけでお腹いっぱいになっちゃうかも……」

「その時は俺が残さず食べるから大丈夫だよ」



と言い、桜井先輩は優しい笑みを浮かべる。

そんな先輩に私も笑顔を見せたあと、次の一口を頬張った。


……先輩と二人きりの時間は、緊張の連続になってしまうかも…と思っていたけれど、実際はそんなことなかった。

とても素敵なお店で食べるご飯は、本当に本当に美味しくて。

それを先輩と共有出来ることが、最高に嬉しい。


やっぱり私は、先輩と過ごす時間が好きだ。

これから先もずっと、こんな風に過ごしていきたい。

心の底からそう思う。 けれど……ちゃんと、話をしなきゃいけない時は いつか必ず来る。


二週間前の日曜日。

先輩は、何を考えていたのかな?

口数が少なく、元気もなく、普段は見せないような迷った顔……。

もしかしてそれは私が原因ですか? と、いつかは聞かなきゃいけない時が来るんだ。


だけど、今はまだ……。

先輩と二人で笑い合ってる今はまだ、答えは聞きたくない。

今はただ、この幸せな時間を楽しみたい。



「……本当に、全部美味しいですね」



楽しい時間が、少しでも長く続きますように。

そう願いながら、一口一口を噛み締めた。


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