心霊現象 研究同好会


さっき食べたばっかりなのに、またプリンが食べたくなってきた。

テイクアウト出来るなら今度私もおじいちゃんおばあちゃん用に買いに来ようかな?

とウキウキしてた時、先輩が穏やかな笑みを浮かべながら声をかけてきた。



「さてと。 じゃあ あとはもう帰るだけだね」

「あっ…はいっ……」



……そっか。

「お詫び」としての食事は終わったから、もう帰るんだ。

少し寂しいけれど…仕方ないよね……。



「って思ったんだけど、やっぱりもうちょっと一緒に居ようか」



……えっ?

もうちょっと、一緒に……?



「…先輩……?」

「だって諏訪ちゃん、すげー寂しそうな顔するんだもん。 そんな顔見たら、このまま帰すなんて出来ないよ」

「……っ……」



うそ……私、そんなに顔に出てたっ……!?



「な、なんかごめんなさい……」

「いいよ、実は俺もまだ帰りたくなかったし。 ていうか、ほんとは諏訪ちゃんに話したいこともあったんだ」



話したいこと。

その言葉を聞き、胸がチクリと痛くなる。

もしかしてそれは、二週間前のあの時のこと……?



「諏訪ちゃんが嫌じゃなかったらでいいんだけど、よかったら俺ん家に来ない?」

「……エッチなことする気ですか?」

「しないしない。 真面目にお話したいなって思ってるだけだよ」


「じゃあ……行きます」



なんとか、いつもみたいに言葉を出した。

そんな私に対する先輩も、概ねいつも通り…に見える。


先輩の家に行くのは、今日で二度目。

だけど前回と違って……今日は二人きりだ。


そして今日、先輩との距離が変わってしまうかもしれない……。



「……」



不安で、胸が押しつぶされそうになる。

呼吸も…上手く出来ない。


怖くて怖くて、堪らない……。


そして、お互いに無言のまま歩き続け……あっという間に先輩の家に到着した。


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