心霊現象 研究同好会


「熱でぶっ倒れた時、意識が朦朧とする中でも やっぱり諏訪ちゃんのことを考えてた。 諏訪ちゃんに会いたくて会いたくて堪らなかったんだ。 「良い仲間」としてじゃなくて、俺を「俺」として見て欲しい。 そう思った瞬間に迷いは全部吹っ飛んだ」



真っ直ぐな言葉に胸が締め付けられる。

これが……あの日の答えだったんだ……。



「俺は諏訪ちゃんが好きだよ。 諏訪ちゃんは、俺をどう見てる?」



私、は……、



「……私は桜井先輩のこと、良い先輩として好きです。 でも…正直よくわかりません……」



先輩の本音を聞いたから、今度は私も本音で話す。

グチャグチャになっちゃうかもしれないけれど、それでも今 言うべきだと思った。

ううん、きっと……今しか言えないことだ。



「……先輩と一緒に居る時間が好きなんです。 一緒に笑い合ってると、幸せだなって思うんです。 だけど…恋とか愛とかは、よくわからない。 私は今の距離のままが好きだから……これ以上近づくとか、離れるとか……どっちも、嫌なんです」



酷いことを言ってるな…という自覚がある。

先輩の想いに応えずに、自分の気持ちを優先して……結局 曖昧なままだ。

だけど……これが今の私の気持ち。

私の、本音だ。



「……ごめんなさい」

「ううん、話してくれてありがとう」



先輩の声が、いつも以上に優しく響く。

そのまま……優しく髪を撫でられる。



「とりあえず、嫌われてないってわかっただけよかったよ」

「そんな…嫌うなんて、絶対にありえません」

「ありがとう。 じゃあこれから先は 今まで通り「良い仲間」ってことでよろしくな」


「……それで、いいんですか……?」

「うん、だって俺も諏訪ちゃんと一緒に過ごす時間が好きだから。 そしてその思いに恋愛は関係ないよ」


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