心霊現象 研究同好会


「諏訪ちゃん、また明日学校でね」

「……はい。 今日はありがとうございました。 それと…色々ごめんなさい」

「俺の方こそごめんな。 ってことで、謝るのはもう終わり。 こっちこそ突然の誘いだったのに 付き合ってくれてありがとう。 すげー楽しかったよ」


「私も…凄く楽しかったです」

「それならよかった。 あ、俺、神代のところに寄ってから帰るよ。 週末の旅行の話をしてみて、オッケーが出たら追々再開するっつーことで。 じゃあまたなっ」



そう言った桜井先輩は、私に満面の笑みを見せながら手を振ったあと、神代先輩の家へと走っていった。

だから私も大きく手を振り、精一杯の笑顔を見せる。

先輩が向こうの家に入ったのを見たあと……私も、家の中へと入った。


……明日からまた、いつも通り。

ううん…「いつも通り」に見える、別の日々が始まるんだ。



「先輩……本当に、ごめんなさい……」



大好きなのに、先輩の想いには応えられない。

先輩と居る時間が一番好きで、幸せだって思ってるくせに。

それでも私は桜井先輩のことを恋愛対象としては見ていない。


どこまで行っても、「良い先輩」としか思えない。

あんなに素敵で、格好良い人なのに……。



「……ごめんなさい……」



目からポロポロと涙が溢れ、頬を伝って落ちていく。

謝るのはもう終わり。 と先輩は言ったけれど、心の中では何度も何度も謝罪を繰り返している。

そしてそれはきっと、このあともずっと続く。

この先ずっと、一生…続くことだ。


でも。

それでも私は「いつも通り」にするしかない。

それが私の…私と先輩の、選んだ道だから……。





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