心霊現象 研究同好会
【 桜井 健吾side 】
………
……
…
諏訪ちゃんと別れたあと、ダッシュで神代の家に向かった。
玄関が開いててよかった。
諏訪ちゃんに情けない姿を晒す前に入れてよかった。
だってもう、色々限界だったから。
「……ハァ……」
中に入ってすぐ、ゆっくりと息を吐きながら その場にしゃがみ込む。
というか、座り込む。
……諏訪ちゃんに言われるだろう「答え」は、なんとなくわかってた。
それでも知りたくて、知りたくて。
どんな「答え」でも全部ちゃんと受け止めるつもりだったし、その上で笑おうって決めていた。
俺は、ちゃんと笑えていただろうか?
違和感なく、いつもと変わらない俺で居られただろうか?
……そうだったらいいな。
ちゃんと「良い先輩」として笑えてたらいいな……。
「……桜井先輩?」
ふと、廊下の向こうから声がした。
その声は、凄く心配しているみたいだ。
「大丈夫…ですか……?」
「ううん、全然。 諏訪ちゃんに振られたよ。 これから先は今まで通り「良い先輩」「良い仲間」として過ごしていく。 そう決めた」
「……そっか」
俺のそばに来た神代は、上がり框のところに腰を下ろした。
神代に隠したって意味はない。
それがわかってるから、静かに言葉を繋げていく。
「諏訪ちゃんはさ、「一緒に過ごす時間が好き」って言ってくれたんだ。 一緒に笑い合ってる時間を「幸せ」だって言ってくれたんだよ。 だからもう、それで十分かなって。 だって俺も一緒の時間が好きで、幸せだから」
だから、これでいい。
と自分に言い聞かせながら、また息を吐く。