心霊現象 研究同好会


「覆面で闇討ちすればバレないかな?」

「普通にバレると思います」

「……だよなぁー」


「気持ちはわかりますけど、芽衣子さんのことを思うなら堪えてください。 俺も一緒に堪えますから」



と言った神代が、小さく息を吐き出した。

その視線は 俺が持つスマホに向けられている。


……そういえば、動画を見た俺の目には「女性」が映ったけど、神代の目にはどう映るんだろう?

俺と同じように見えるのかな?

それとも、昨日ここで撮った写真のように 煙のようなモヤとして映るんだろうか?

現地に行くことはないけれど、それでもやっぱり気にはなる。



「……なぁ、さっきの動画だけどさ。 お前の目にはどう映った?」

「半透明の女性がカメラを睨みつけてるな、と」

「っていうと、俺と同じのが見えてるんだな。 へぇ……またモヤが発生してるのかと思ったけど、ちゃんと「人」の形として見えたのか」


「カメラのレンズを通して、上手くピントが合ったんでしょうね。 彼女たちからは強烈な恨みつらみの念を感じます。 よっぽどアイツらを憎んでるみたいです」



……ん?

彼女“たち”?



「彼女たち…って、複数居るの? 俺には一人の女性しか見えないんだけど」

「俺には五、六人が重なって一人の女性の姿として現れてるように見えてます。 えっと…ゲームとかでアバターを作る時みたいな感じです。 顔や体のパーツが五、六人の女性で出来ていて、それを組み合わせたのが動画の女性…って、 説明が下手ですみません。 俺が言いたいこと、なんとなくわかりますか……?」

「大丈夫 大丈夫、通じてるよ。 つまり、目はA子さん、鼻はB子さん、口はC子さん…っていう風に、五、六人の特徴が混じり合って見えてるってことだろ?」

「はい。 実際はもっと色々複雑に絡み合ってますが……そういう認識で大丈夫です」


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