心霊現象 研究同好会
「すみません、俺も今日は先に帰ります。 さっき叔父さんから連絡があって、久しぶりにこっちに帰ってくるらしいので」
「おー、こっちは大丈夫だから任せとけー」
「ありがとうございます。 それじゃあお先に失礼します。 お疲れ様でした」
礼儀正しく頭を下げた神代は、なんとなく嬉しそうな顔をしながら出ていった。
残ってるのは、俺と諏訪ちゃんの二人だけ。
「……あっ。 ていうか諏訪ちゃんも今 帰ればよかったんじゃね? ほら、神代とご近所って言ってたし。 今 走っていけばまだ神代に追いつけるだろうし、行って大丈夫だよ?」
「いえ、片付けてから帰りますっ。 その方が気持ちもいいですからっ」
「そう? じゃあパパッと終わらせて、俺らもさっさと帰ろっかー」
「はいっ」
諏訪ちゃんの穏やかな笑顔を見て、ホッとする。
元クラスメートの話をする時は少し震えていたけれど、今は大丈夫そうだ。
……と思ったのも束の間で、諏訪ちゃんが真っ直ぐに俺を見ながら声をかけてきた。
「桜井先輩、あの……」
「んー?」
「……今回のこと…本当にすみませんでした」
「いやいや、諏訪ちゃんが謝る必要はないよ。 逆にこっちがごめんって感じだし」
「いえ、既に決まってたことの邪魔をしてしまったのは、私の方なので……」
と申し訳なさそうな顔の諏訪ちゃんは、その後は俯いて黙ってしまった。
だから今度は俺から声をかける。
諏訪ちゃんのことを真っ直ぐに見つめながら、精一杯に、穏やかに。
「俺は別に、諏訪ちゃんに邪魔されたとは思ってないよ」
「……でも……」
「樫村も言ってたけど、言いたいことをなんでも自由に言ってくれた方が俺も嬉しい。 諏訪ちゃんは一番下の学年だから、言いづらいことも多いと思う。 でもさ、それでも ちゃんと言ってもらえた方が嬉しいよ」