心霊現象 研究同好会
今までは一人で過ごすことが多かったし、私をわざわざ求めてくれる人なんて居なかった。
ここになら、居場所がある。
声を、かけてくれる人が居る。
……だけど ここに入ってしまったら、クラスには馴染めなくなるかもしれない。
色々な部活や同好会がある中で、わざわざココを選ぶというのは……かなりリスクがあるような気がする。
ううん、でも……それは私が「幽霊が見える人間」だからそう思うだけ?
もっと気楽に考えるべき?
たとえば、ダンス同好会はダンス好きな人たちが集まる会、だと思う。
クイズ同好会や、囲碁・将棋同好会もそう。
そもそも同好会というのは、同じ趣味の人たちの集まり…って感じの意味だよね?
だったら私も、「怖い話が好きだから」「心霊現象に興味があるから」と適当な理由をつけて入会すればいいのかな?
だって、「幽霊が見えるから入会してみました」なんて報告する義務はないしね。
「おーい、めいちゃーん?」
「……え、あっ…ごめんなさい、ちょっと今、色々考えててっ……」
思案を巡らせ、ついつい無言になってしまっていた。
そんな私に、梨乃先輩は微笑む。
「真剣に考えてくれてありがとう。 でも、もっと気楽に考えて大丈夫だからねっ? というか「心霊現象 研究同好会」なんて凄そうな名前を掲げてるけど、実際は研究なんて全然してないしっ」
「……そう、なんですか……?」
「うん、ウチの活動内容はねー、放課後はダラダラ過ごすっ。 で、休日はたまーに心霊スポットに行くっ。 それだけっ」
という言葉に、今度は桜井先輩が笑う。
「一応、俺はもうちょっと色々やってるけどね。 だけど樫村の言った通り、平日は基本ダラダラ過ごして、休日はたまーにみんなで出かける、って感じ。 あ、休日に出かけるっていうのは強制ではないから、都合が悪い時は事前に言ってくれれば全然大丈夫だよ」