心霊現象 研究同好会
外で幽霊のことは言わない方がいいだろうから、「困った時は」とだけ言う。
誰も居ないから大丈夫だろう、って油断してる時に限って、案外 誰かに聞かれてたりするしね。
諏訪ちゃんなら、その言葉でじゅうぶん通じてるはずだ。
「ありがとうございます、何かあったら連絡しますねっ」
「と言いつつ、神代に連絡する方が先なんだろうなぁ。 で、俺が到着する頃には全然平気になってそう」
「あ、確かにそんな気がしないでもないような……。 でもソッコーでどうにかしたいなって時は、真っ先に桜井先輩に連絡すると思います。 目をギラギラさせた先輩を見たら、どんなものでもすぐに逃げ出しそうなので」
「いやいや、俺は超真剣に彼らを追い求めてるからねっ? 俺の近くに来てくれよーって願いながらの行動だからねっ?」
「でもそういう時の先輩の姿は、超ヤバかったです」
と楽しそうに笑う諏訪ちゃんを見て、俺もふふっと笑う。
よかった。
お互いに普通に話が出来ている。
むしろ、最初よりは打ち解けてきたかもしれない。
もっと色々話して、もっと仲良くなっていきたいな。
って思ったけれど、もう諏訪ちゃんが住んでる家の前まで到着した。
無事に家まで送ることが出来たのは安心したけれど、もう離れてしまうのかという寂しさも感じる。
でもまぁ、いいか。
仲良くなるチャンスはいっぱいあるだろうし、こうやって一緒に帰るっていうのも、きっとこれから先もあるだろうから。
「先輩、送ってくれてありがとうございました」
「どういたしまして。 って、俺の家もこっち方面だから、ただただ通り道ってだけなんだけどね。 じゃあまた明日っ」
「はい、また明日っ」
お互いにひらひらと手を振りながら挨拶をし、諏訪ちゃんがしっかりと家の中に入ったのを見たあと、ゆっくりと歩き出す。