心霊現象 研究同好会
「……さてと、今日も頑張りますか」
グーッと背伸びをして、大きく息を吐き出す。
どこにでも居るようなただの高校生である桜井 健吾の時間はここまでで、このあとはサイトの管理人“ジェイド”としての時間だ。
サイトにアップしてる記事は神代に書いてもらってるけど、その他のことはほとんど全部 俺がやっている。
サイト内に設置している情報提供の掲示板に書かれたことを一つ一つチェックし、裏取りをし、建物に入る場合は所有者への連絡も欠かさない。
自身のサイトに書き込まれた情報だけではなく、他のサイトやSNSを見たりしながら、とにかくたくさんの情報を集めて集めて集めまくっていく。
そこから十数個を選出し、厳選し、同好会のメンバーに伝え、承諾されれば週末に現地へ向かう。 という流れでやっている。
泊まりがけになる時はホテルの予約なんかもあるから、もっともっと前から予定を立てていかなくてはいけない。
そして現地で動画や写真を撮って、検証して、その結果をサイトにアップして……というのも並行してやっているから、正直に言ってしまうと かなり面倒臭い。
ていうか、時間がまったく足りないんだよなぁ……。
まぁそれでも続けているのは、結局は「好きだから」なんだけどね。
それに、神代が記事の代行をしてくれるようになってからは ちょっとだけ時間に余裕が出来た。
俺が高校を卒業したあともずっと仕事のパートナーとして付き合っていきたいと考えてるくらいだ。
……でも、実際はどうだろう?
俺が会社勤めになれば、今みたいに毎週のように出かけるというのは難しくなる。
そうなると、当然サイトの運営体制も変わってきてしまう。
サイトの収入のみで生きていく…というのは、今現在の状態なら多分可能だ。
でも未来は不確定なものだから、この良い状態がいつまで続くかはわからない。
そもそも、心霊現象っていうのがまず不確定なものだしね。