心霊現象 研究同好会
好きなことを仕事にするというのは理想ではあるけれど、それだけで生きていくのはやっぱり難しい。
地に足をつけて地道に生活し、サイトのことは「趣味」として割り切るのがいいんだろうな。
その結果アクセス数が減って寂れてしまったとしても、仕方がない。
仕方がない、けど……、
「……卒業、したくないなぁ」
きっと“今”がベストだ。
“今”が最高に自由で楽しい時間だ。
高校を卒業したら全部が変わって、“今”が終わってしまう。
終わって欲しくない。
もっとずっと、ずっとずっと続いて欲しい。
そう願っても、時間は止まることなく進み続けている。
前へ、進んでいくしかないんだ。
「……うん、進むしかない。 じゃなきゃ諏訪ちゃんのことは知っていけないし、俺たちのことも知ってもらえないもんな」
生きている限り、“今”は常に変化していく。
立ち止まっていても時間は止まらない。
だから進むしかないし、進むことで新しい何かを見つけることが出来るかもしれない。
案外、今よりも良い状態になる可能性だってあるしな。
“今”を大切にしながらも、前へ進んでいくことは止めない。
それを忘れずに生きていこう。
「……とりあえずは、建物の所有者に連絡しなきゃだな」
諏訪ちゃんの元クラスメートたちがアップした動画の撮影場所には行かないということに決まったけど、でもまだ全部が終わったわけではない。
サイトの管理人としてやるべきことが残っているから、それらを全て漏れなくやっていく。
今回のことが全部 終われば、週末の楽しいプチ旅行が待っている。
みんなで出かける日を楽しみに思いながら、俺は足取り軽やかに帰路へと着いた。