心霊現象 研究同好会


「ていうか先輩、楽しいお出かけの前に くだらない話を持ち出さないでくださいよー……」

「ごめんごめん。 でも「ざまぁみろ」って思ってるのなら、最初よりももっと良い気分で今日を楽しめるでしょ?」

「……ま、そういうことにしときますか」


「うんうん、そういうことにしておこう」



微笑んだ桜井先輩が、私の頭をポンポンと叩いた。

……先輩が私に触れるのは なんだかもう当たり前になった。

下心があるわけじゃなく、本当に無意識なんだなと思う。

だから私もごくごく普通にそれを受け入れていた。



「お、樫村たちの買い物も終わったみたいだな」



と言う声を聞き、コンビニに視線を向ける。

中から出てきた梨乃先輩は 私を見ながらニコニコで手を振ったあと、「そろそろ行く?」と言ってるかのように駅の入口を指差した。

梨乃先輩とほとんど同時に出てきた郁也先輩は……既に入口方面に歩き出している。



「よし、じゃあ行こうかっ」

「はいっ」



梨乃先輩たちを追いかけて、私たちも駅に向かって歩き出した。

楽しい一日の、始まりだ。



………

……




目的地までは、電車で一時間半くらい。

そこから徒歩十分ほど行くと、桜並木のエリアに到着する。

桜まつりの会場はその一帯だ。

私が前に住んでた県とは丸っきり反対方向だから、知り合いに会う可能性はほとんどないはずだ。

だから今日は、とても気が楽だった。


乗り込んだ電車はボックス席のある車両だったので、私たちは四人向かい合うように腰かける。


< 47 / 283 >

この作品をシェア

pagetop