心霊現象 研究同好会
「ていうか先輩、楽しいお出かけの前に くだらない話を持ち出さないでくださいよー……」
「ごめんごめん。 でも「ざまぁみろ」って思ってるのなら、最初よりももっと良い気分で今日を楽しめるでしょ?」
「……ま、そういうことにしときますか」
「うんうん、そういうことにしておこう」
微笑んだ桜井先輩が、私の頭をポンポンと叩いた。
……先輩が私に触れるのは なんだかもう当たり前になった。
下心があるわけじゃなく、本当に無意識なんだなと思う。
だから私もごくごく普通にそれを受け入れていた。
「お、樫村たちの買い物も終わったみたいだな」
と言う声を聞き、コンビニに視線を向ける。
中から出てきた梨乃先輩は 私を見ながらニコニコで手を振ったあと、「そろそろ行く?」と言ってるかのように駅の入口を指差した。
梨乃先輩とほとんど同時に出てきた郁也先輩は……既に入口方面に歩き出している。
「よし、じゃあ行こうかっ」
「はいっ」
梨乃先輩たちを追いかけて、私たちも駅に向かって歩き出した。
楽しい一日の、始まりだ。
………
……
…
目的地までは、電車で一時間半くらい。
そこから徒歩十分ほど行くと、桜並木のエリアに到着する。
桜まつりの会場はその一帯だ。
私が前に住んでた県とは丸っきり反対方向だから、知り合いに会う可能性はほとんどないはずだ。
だから今日は、とても気が楽だった。
乗り込んだ電車はボックス席のある車両だったので、私たちは四人向かい合うように腰かける。