心霊現象 研究同好会


老舗旅館に行けるかどうかは、相手側の都合次第。

座敷わらしには会ってみたいけど、先輩が言うように こればっかりは仕方がない。

今は嘆くよりも、別の候補地を探す方が先だ。


旅館以外で行くとするなら……トンネル、だろうか。

このトンネルのことも、先輩は以前に検証している。

これも日付は二年前だったと思う。

そしてこの場所も旅館と同じく「成果なし」で終わっていたはずだ。



「……なんとなく興味があるのは、トンネルですね」



そう言いながら、自分のスマホで先輩のサイトを開く。

そのまますぐにトンネルの記事を表示し、そこに載ってる写真を示す。



「先輩は「成果なし」って書いてましたけど、この写真は、なんとなく気になる感じがしてて」

「ほう? 他の写真は関係なくて、この一枚だけ?」

「はい。 でもモヤが見えたりはしてないし、怖い感じもしないから……別の“何か”の可能性が高いかな、と」



寂れたトンネルを、ほぼ真正面から撮った写真。

薄暗いトンネルというシチュエーションはいかにも「出そう」で怖そうに思えるけど、写真を見る限りでは そこまで怖い印象は受けなかった。

幽霊の気配というより、これは……、



「……もしかしたら、神様とか妖精のたぐいかも」

「え、諏訪ちゃんはそういうのもわかるんだ?」

「ええっと、なんとなく……。 でもハッキリとはわからなくて、何かの気配を感じる…っていう程度なので、実際は全然 想像とは違ったモノかもしれませんけど……」


「メッチャ凄いじゃん。 別の“何か”が居るなら是非とももう一度行きたいね。 よし、最有力候補だなっ」

「……あのっ、でも気のせいって可能性もあるし、何もないってなったらすみませんっ……」

「いやいや、そもそも目に見えないモノを追っかけてるんだから、そういうのは気にしなくていいよ」


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