心霊現象 研究同好会
桜井先輩は、優しく笑いながら言葉を続けていく。
「ていうか俺はさ、結果がどうであれ 全部の工程を楽しみたいって思ってるよ。 今日だって現地に着いて初めて「楽しい」って思うわけじゃなくて、移動中だって楽しいじゃん? なんなら計画立ててる時から楽しかったでしょ?」
「あ……確かに、そうですね」
「うん、だからサイト関連で出かけた時も、俺は全部を楽しみたい。 そりゃあ結果が伴えば最高に嬉しいし、成果なしだったらガッカリはするだろうけど。 でもどういう結果になったとしても、「楽しい」ってことに変わりはないよ」
……満足のいく結果が得られなかったとしても、先輩は誰かを責めて嘆いたりはしない。
きっと梨乃先輩と郁也先輩も同じだ。
むしろ全員「楽しかったね」と言って笑ってそうだ。
そしてそれは……きっと私も同じ。
「ということでー、気になる場所とか行ってみたい場所があったらガンガン言ってね? あ、出来れば見えるかどうかは関係なしに、直感で話して欲しい。 神代にも言ってあるんだけど、「見えるから行く」「見えないから行かない」っていう風には分けたくないんだ。 二人の目に頼ることはあるけど、頼りっぱなしにはなりたくない…という微妙な男心をご理解くださいませ」
「ふふっ……わかりました。 じゃあなるべく直感で話していくことにしますね」
「うん、ありがとう」
お互いに笑い合ったあと、再び選定を進めていく。
桜井先輩のスマホにまとめられたメモを見ながら、私のスマホでその場所の情報を調べていき、話し合う。
そうやってるうちに、あっという間に時間は経っていき……目的の駅に到着した。