心霊現象 研究同好会


「よしっ、じゃあ元気に行きますかーっ」



完全復活した梨乃先輩が元気よく歩き出し、私たちはその後ろをついていく。



「樫村、あんまり一人で先に行くなよ」

「はいはい、わかってるってー。 てか、思ったよりも混んでなかったね」

「まだ時間が早いからじゃない? 多分、昼ぐらいになったら混んでくるだろ」


「んじゃ、空いてるうちにのんびり桜を見とこっ」



駅の外に出て、案内表示に従って道を進んでいく。

昔ながらの商店街を抜けると、パァッと視界が開け……美しい桜並木が目に飛び込んできた。



「わぁ、凄いっ」



土手沿いに等間隔で植えられた桜の木は、どれも満開だ。

それがずっとずっと向こうまで続いていて……涙が出そうになるくらいに美しい。



「めいちゃん、写真撮ろっ」

「はいっ」



梨乃先輩と、私と、桜井先輩と、郁也先輩。

散歩中だった地元の人に撮ってもらった その写真は、初旅行のスタートに相応しい最高の写真となった。

旅行自体は早朝から始まっていたけれど、それでもこの場所からのスタートが相応しい。

そう思わせるような、本当に本当に最高の写真だ。



「さっ、ここからどんどん楽しもうっ」



そう言った梨乃先輩に連れられ、桜並木をどんどんと進んでいく。


時間の経過と共に、段々と人が増えてきたみたい。

それに合わせるように出店もオープンし始め、私たちは色々な物を食べたり、飲んだり、遊んだり。

子供の頃に憧れた、友達とのお出かけを心行くまで楽しんだ。


──しばらく経った頃、「少し休憩しよう」ということになり、桜並木からほど近い公園へとやって来た。

私と梨乃先輩はベンチに腰かけ、桜井先輩と郁也先輩はその目の前に立っている。


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