心霊現象 研究同好会
好きって自覚しただけじゃなくて、もう告白済みで……しかも振られてるらしい。
なんか、展開が早すぎる……。
「神代くんが「見える人間」って知ったのは その翌日だったね。 それを聞いたあと、ふと思ったの。 神代くんが私に言ったセリフは多分 誰に対しても言うことなんだろうな、って」
「……見える人間だからこそ、周りと距離を取ってる……?」
「うん、他人と深い関係になるのが嫌なんだと思う。 体質の話を聞いたあと、「私は神代くんが見える人間だろうと なんだろうと気にしないよ」って伝えたんだけど、それでもやっぱり答えはノー。 だから今は、良い仲間ってだけの関係だよ」
そう言った梨乃先輩が、私に微笑みかけた。
「だけど私は、まだ恋心を諦めたわけじゃないの。 だから めいちゃんがライバルになったとしても、負けないからねっ?」
「……えっ。 いやいやっ、私は全然、郁也先輩にそういう感情は抱いていませんよっ……!!」
「えー、名前で呼び合ってるのにー?」
「それはうちのおばあちゃんがそういう条件を出したから、って前に話したじゃないですかっ……」
「ふふっ、わかってるわかってる。 からかってごめんね」
「……ていうか、私もきっと郁也先輩と同じです。 体質のことがあるから……人と深く関わり合うのは避けていく。 誰かを好きになった場合も、誰かに好かれた場合も……一定の距離は保ち続けると思います」
梨乃先輩のように、相手が「気にしない」って言ったとしても。
それでもやっぱり、近づきすぎるのは怖いから。
いつかは拒絶されるかも…という不安を抱え続けていくよりは、一定の距離を保ち続けた方がいい。
と、そう考えてしまうと思う。