心霊現象 研究同好会
「まぁそもそも私は、いまだに恋とか愛とかは よくわかっていないんですけどね」
苦笑気味に笑ったあと、先輩たちが向かった出店の方に視線を向ける。
二人は行列の先頭付近まで進んだみたいだから、もうそろそろ戻ってくるはずだ。
だから、梨乃先輩と二人で話すのも そろそろ終わりにしないといけない。
「……私、同好会のみんなのことは大好きです。 でも恋愛のことはよくわからない。 いつかわかる日が来たとしても、今は「良い仲間」として接していくだけで十分です」
「……そっか。 じゃあとりあえず私はー、強力なライバルが出現する前に神代くんにガンガン アタックしていくっ。 向こうが一定の距離を取ろうとしてても攻めていくぞーっ。 あぁでも、幽霊を前にした桜井みたいにならないようには気をつけるっ」
「ふふっ…桜井先輩は、幽霊が居る時はキャラが変わるくらいヤバいですもんね」
「あの馬鹿は、幽霊と結婚するのが目標みたいなところがあるからなぁ……。 普段はわりと常識的だし、普通に良い奴なんだけどね」
「ほんとほんと。 キャラが違いすぎて最初はビックリしましたもん。 今はもう慣れましたけど」
と笑い合っているところに、桜井先輩と郁也先輩が戻ってきた。
「お? なんかメッチャ盛り上がってる? なんの話?」
「去年神代くんに告白して振られたけどまだまだ諦めてないよーって話。 あとは桜井ってやっぱり馬鹿だよねーっていう確認もしてた」
「待て待て。 お前、神代に告白してたの? しかも去年? 更には振られてるって? つーかその流れでなんで俺の話になるんだよ」
「どんなに相手が好きでも、桜井が幽霊を追っかける時みたいには ならないようにしなきゃーって思って。 あ、神代くん。 聞いての通り、私はまだ全然諦めてないからね?」