心霊現象 研究同好会
「電車に乗るんですか?」
「うん、二駅移動する。 そこから徒歩で七、八分くらい行ったところだよ」
「……下調べ バッチリなんですねぇ……」
「そりゃあ、俺だしね?」
と楽しそうに笑う先輩に呆れながら、ハァと息を吐く。
だけどもう、仕方ない。
桜井先輩が強引なのは今に始まったことじゃないし、こういう事態になることを想像出来ていなかった私が悪い。 ということにしておこう。
……まぁ、正直言えば私はまったく悪くないし、圧倒的に桜井先輩が悪いけど……。
「……それで? これからどこに?」
「住宅街のすぐ近くにある緑地公園だよ。 遊歩道はきちんと整備されてるし、子供用の遊具スペースもあるし、芝生の広場もある。 それにテニスコートや野球場もあるくらい大きなところなんだ」
「あ、スマホで地図を見てた時に、チラッとだけ見ました。 そんなに色々なものがある場所だったんですね。 でも、きちんと整備された場所なのに心霊スポットなんですか?」
「それがねー、遊歩道のそばは綺麗に整備されてるらしいけど、少し道を外れると かなり森っぽい雰囲気になるみたい。 そこで「見た」とか「声を聞いた」って人が居るんだ」
「なるほど……」
「ま、イチャついてるカップルを見て幽霊と勘違いしたんじゃないか? っては思うけどね」
……確かに、そういう場所ってカップルがイチャイチャするのに使ってそうだ。
他人も目の届かないところだと、大胆にもなるだろうしね。
「ちなみに……過去、その公園で人が亡くなったとか遺体が発見されたとか、そういう話は?」
「調べた限りではゼロだね。 だからまぁ、普通に散歩すると思って気楽に行こう」
「……了解です。 ちゃんと、待ち合わせの時間に間に合うように帰りますからね?」
「オッケーオッケー、任せとけー」