心霊現象 研究同好会
桜まつりの会場じゃなくて 最初からここが目的地だったのなら、ゆっくり散歩するのも楽しそうだ。
遊歩道の脇には桜も咲いているし、住宅街の近くなのに空気も澄んでいて気持ちいい。
まぁ、今の足の状態だとゆっくり楽しむって感じにはならないけど……。
「諏訪ちゃん、大丈夫? 目星をつけた場所には俺だけ行って、その間ベンチで休憩しとく?」
「あー……正直、休めるなら休みたいです。 もう足がフラフラで……」
「よし、じゃあここから先はちょっとだけ別行動ってことで。 知らない人に着いてっちゃダメだよ?」
「ふふっ、わかってます。 でも早めに戻ってきてくださいね?」
「うん、ダッシュで行ってダッシュで戻ってくる。 つーことで、そこのベンチに座って待っててっ。 行ってきますっ」
「いってらっしゃーい」
ひらひらと手を振って応え、駆けて行った先輩の背中を見送る。
そのあと、近くのベンチに腰を下ろした。
「ハァ……疲れたぁ……」
さっき電車に乗った時も、二駅移動するだけだったから席には座らなかった。
普段から運動してる人ならまだまだ余裕はあるんだろうけど、私はもう限界だ。
しばらくゆっくり休みたい。
「……やば……眠くなってきちゃった……」
ポカポカと暖かくて、風に揺れる木の葉の音も心地良い。
遊具コーナーで遊んでるだろう子供たちの笑い声が、良い子守唄で……。
「……先輩が戻ってくるまで……起きてなきゃ……」
と言葉を出したけど、眠気はどんどん強くなる。
そしてそのまま……カバンをギュッと抱きしめた状態で、うっかりと眠ってしまった──。