心霊現象 研究同好会
──……それから、どのくらい経っただろう?
ふと、隣に人が座る気配がして……ゆっくりと目を開けた。
まだ頭がボーッとするけれど、隣に来たのは……桜井先輩……?
「ん……」
「あぁごめん、起こした? 撮った写真の確認をしていくし、もうちょいゆっくり寝てて大丈夫だよ?」
「……いえ、もう完全に目が覚めましたっ。 寝ちゃってすみませんっ……」
「いやいや、諏訪ちゃんが無事ならそれで何も問題はないから」
聞き慣れた声と優しい笑顔に、心からホッとする。
でも、寝顔を見られたのか……っていうのは、少しだけ恥ずかしい。
というか、目を合わせ続けていたら 更にどんどん恥ずかしくなってきた……。
だからパッと視線を外し、前方を見る。
「あのっ……写真、どうでしたか? 何か写りました?」
「んー、俺が見る分には、ただの風景写真って感じかな。 諏訪ちゃんの目にはどう見える?」
と、デジカメで撮った写真の一部を見せてもらう。
……うん、どれも普通の風景写真だ。
とくに何かが居る感じではない。
ていうか、メッチャ数が多いな……。
「……今のところは、とくに何も。 それよりも、写真の数が尋常じゃない気がするんですけど……」
「あー、連写して色々撮るからね。 一箇所につき二百枚くらいはあるんじゃないかな。 ちなみにスマホでも撮影してるから、あとで確認してね?」
……いや、ニコッ じゃないよ、撮り過ぎだよっ……。
「……あの、毎回こんなにいっぱい撮るんですか?」
「うん、メッチャ撮る。 で、その結果、手が回らずに未確認の写真や動画が山のようになってます」
「えぇ……そんな状態なのに、更に心霊スポットに行って写真を撮って回ってるんですか……?」
「うぅ……だって、やっぱり生で触れ合いたいし……」