心霊現象 研究同好会


……ハァ。

みんなで旅行するっていうのを楽しみにしてたけど、まずは画像の確認やらなんやらを集中的にやっていった方が良さそうだな……。



「……桜井先輩、しばらくは遠出禁止っ。 まずは山積みになってるデータの確認作業が先ですっ」

「……ですよねー。 いや、うん。 このままじゃダメだってわかってたよ? むしろ神代にも言われてたよ? 自重しろって散々言われてたよ? でも毎日画像と にらめっこしてるだけなんてキツいしさ。 週に一回くらい現場に行ってゾクゾクしたいんだよー……」

「自分で撮った写真なのにキツいも何もないでしょうに。 私も手伝いますから、一緒に頑張りましょ?」


「……頑張ったあとは、また心霊スポットに行っていい?」



まるで小さな子供がお菓子をねだる時のような、上目遣い。

……なんか、ちょっと可愛い…とか思ってしまった。



「えーっと……ちゃんと作業が進んでいれば もちろんオッケーです」

「やった。 じゃあ頑張るっ」



……と無邪気に笑う姿が、やっぱり可愛らしい。

桜井先輩は二学年上で、普段は大人っぽく見えるのに。

でも幽霊のことが絡むと……途端に少年になってしまう。

梨乃先輩が郁也先輩のことを話してる時に「ギャップが堪らない」って言ってたけど、なんとなくその気持ちがわかったような気がする。


私が「ギャップが堪らない」と思う人は、桜井先輩だ。

でもきっと、梨乃先輩が郁也先輩に向けてる感情とは違うものなんだろうな……。


先輩のことは好き。

だけどそれは恋じゃない。

同じ同好会の先輩として好きで、良き仲間としての好きだ。


……恋愛のドキドキは、どういう感じなんだろう?

今の自分と、大きく違った部分が出てくるのかな??


< 64 / 283 >

この作品をシェア

pagetop