心霊現象 研究同好会
ふっと笑った先輩が、私から視線を外す。
「でも、真っ直ぐに見つめられると絆されそうになる」
「……?」
「先輩の気持ちを受け入れてしまいそうになる、ってことだよ」
「……え、じゃあっ……!!」
「だけど今は「良い仲間」で居たい。 そう思ってるから、樫村先輩には言わないでね?」
「うっ……わ、わかりました……」
何もしないでね? という圧が強い。
でも……そうだよね。
私は同好会の仲間ではあるけど、先輩たちの恋愛事情に関しては部外者だ。
それに郁也先輩は、体質のこともあるし……。
きっと、普通の人よりも色々なことを考えながら行動してると思う。
だったら私は、そんな先輩の気持ちを尊重して、「良い仲間」の一人として接していくだけだ。
もちろん、良い方向に行ってくれればすっごく嬉しいけどね。
「……あのっ。 未来がどうなっていくかは、もちろんわかりませんけどっ……それでも私は、みんなが楽しく笑えるような未来になっていれば嬉しいですっ」
付き合うとか、付き合わないとか……それだけを重視するわけじゃなくて。
どんな結果になったとしても、笑って過ごせる方がいい。
辛いこと、悲しいこと、苦しいことはきっとあると思うけど。
それでもやっぱり、最後はみんなで笑いたい。
そう思うんだ。
「俺もそう思うよ」
と、郁也先輩が微笑む。
「ずっとみんなで楽しく過ごしていきたいね」
「……はいっ」
私の頭をポンポンと叩く郁也先輩と同じように微笑む。
みんなと一緒に居られる時間を大切に。
そしてこれから先の幸せを、強く強く願いながら……。