心霊現象 研究同好会


「あの、桜井先輩。 サイトっていうのは……」

「ん? あぁほら、さっき「俺はもうちょっと色々やってる」って言ったじゃん? 実は俺、心霊系のサイトの管理人をやってるんだ。 えーっとね…ほい、これが俺のサイトだよ」



と、桜井先輩がスマホの画面を見せてくれた。

そこに表示されているのは……「怖い話」や「心霊写真」などで検索すると常に上位に表示される、超有名なサイトだった。

そのサイトは他者を悪戯(いたずら)に怖がらせるような情報を載せるのではなく、管理人 自らが現地に足を運び、検証し、見解を述べていく……というようなもので。

それこそまさに、心霊現象を研究してるような……そういうサイトだ。



「……このサイト、見たことありますっ。 ていうか結構 頻繁に見てますっ。 なんか、心霊系だけど そこまで怖くないっていうか……ちゃんと色々調べてる感じがいいなぁって思っててっ」

「おぉーマジで? 嬉しいこと言ってくれるじゃーん」

「でもあれってオジサンが書いてるんだと思ってましたっ……」



管理人さんの口調はいつも落ち着いた感じだし、なんかこう、言い回しがオジサンっぽいというか……。



「……あの……ほんっとうに、桜井先輩が管理人なんですか?」

「アハハ、本当に俺だよ。 まぁでも、ここ一年くらいの文章はコイツが書いてるんだけどね」



と笑った桜井先輩の視線が、神代先輩へと向く。



「どうも、オッサン臭い文章の神代です」

「……えっ、神代先輩が書いてるんですかっ!?」

「うん、桜井先輩の見解を聞いた俺がサイトに記してる。 一応、去年から共同で管理者をやってるんだ」

「……そうなんですね。 な、なんか すみません……」

「いや、全然。 というか、学生だと悟られないようにわざと ああいう口調でやってるしね」


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