心霊現象 研究同好会


神代先輩が、ふっと笑う。



「俺たちがサイトをやってるってことは、周りの人には言わないでね。 妙な噂が広がると どうしても動きにくくなっちゃうからさ」

「……はい、もちろんですっ」



私自身、今まで噂話で良い思いをしたことはない。

立場は違うけど「動きにくくなる」という先輩の気持ちは凄くよくわかる。

だから他人に言いふらしたりはしない。

むしろ、秘密を共有出来ることの方が嬉しく思う。


それにしても、凄いな……。

ここに居る桜井先輩があのサイトを作った人で、そして文章を書いてるのは神代先輩なんだ。


この学校に入学していなかったら。

心霊現象 研究同好会のポスターを見ていなかったら。

そこで桜井先輩に声をかけられなかったら。

入会するという決断をしなかったら。

何か一個でも違っていたら、一生知ることが出来なかった情報だ。


なんだか胸がドキドキするし、ワクワクもする。

心霊系のことでこんなに気持ちが高揚するなんて、初めてだ。



「めいちゃんめいちゃん、実は週末のお出かけってね、泊まりの時もあるんだよ」

「そうなんですか? あ、でも確かに…サイトを見ると、全国各地の情報が載ってますもんね。 だけど、それだと結構 費用がかかりそうですね……」

「大丈夫大丈夫、交通費とか宿泊費はサイト収入で賄ってるからっ」



自慢げにサムズアップした梨乃先輩を見ながら、桜井先輩が笑う。



「樫村はサイトのこと何もしてないけどね」

「それはまぁそうだけどー。 でもその代わり、現地の美味しいご飯屋さんとか事前に調べてるしっ」

「あーそう言われるとそうか。 いつも素敵なお店を見つけてきてくれてありがとうございます」

「うん、どう致しましてっ」



なんてことを喋りながら、二人は笑い合う。


きっと、いつもこんな感じでやり取りしてるんだろうな。 って思いながら、私も笑う。

傍観してる神代先輩も、なんとなく微笑んでいるような気がする。


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