心霊現象 研究同好会


その作業が終わったあと、校庭の真ん中らへんに班ごとに整列し、出発式が執り行われる。

校長先生の長い話と 生徒代表の言葉を聞き、そのあと学年主任の先生から注意事項などを聞く。

それが終わって、ようやく出発だ。



「さてと。 じゃあ今日から二日間、よろしくね」



そう言ったのは、班のリーダーになった龍泉寺(りゅうせんじ) (とおる)くんだ。

落ち着いた雰囲気で、とても穏やかな人。

どことなく郁也先輩に雰囲気が似てるから、勝手に喋りやすさを感じている。

それに龍泉寺くんは学級委員もやってるから、本当に頼れる人だ。


そしてその隣に居るのが、如月(きさらぎ) 裕翔(ゆうと)くん。

如月くんは、普段はかなり明るくて元気いっぱいだけど……合宿の話し合いをする時は毎回ため息ばかりだった。

それは今日も変わらずに、既に何度目かもわからないくらいに ため息をついている。



「ハァ……とうとう始まっちゃったよ、心霊合宿……。 俺 怖いのマジで苦手なんだけどー……」



……と本人が公言してるように、心霊系の話がかなり苦手らしい。

クラスメートが怖い話で盛り上がっていても、如月くんはいつも嫌そうな顔だったっけ。

だから今回の合宿は、憂鬱でしかないみたい。


雰囲気的に言えば桜井先輩に似てるけど、心霊大好きな先輩とは真反対な感じだ。



「まぁまぁ、みんなで楽しく過ごせば幽霊も近づいて来ないってー」

「うんうん、幽霊は陰気な人の方に行きやすいって聞いたことあるしっ。 楽しく過ごそうよっ」



と言って笑うのは、桐生(きりゅう) 穂乃果(ほのか)ちゃんと住吉(すみよし) 沙綾(さあや)ちゃん。

この二人は中学の時からの友達らしく、とても仲が良い。


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