誰でもない君へ。
それでも、ただ君に晴れる空などない事を。
僕は、ずっと探している。あの日、この世を去ったある少女を。
「莉奈。」
そう叫んでも、少女はもう戻らない。
なぜなら、君はもうこの世界の何処にもいないから。
今日もいつも通り、空を見ていた。
君は、空を見るのが大好きだったから。
雲や星座を見ては、詳しい知識を僕に教えてくれた。
今日の夜空はどこかで見た事がある様な月が浮かんでいる。
莉奈はあの雲を「海月みたいな雲だね」と呟いた。
海月、それは普通水の中で泳いでいる生物だ。
莉奈と歩いていると、古びたバス停を見つけた。
その横にある簡易的なベンチ。
後にこのベンチは僕らの休憩スペースになる。
バス停を覗くと、あの夏にいる少女が見えた気がした。
そう、あの夏の思い出を。
鳥居。乾いた雲。
僕の隣で笑顔を見せる君。
あの頃の僕は、まだ中学生だった。
神社を歩き、空を見上げると莉奈が
「あの雲は、わたあめみたいだよ、食べられるかなぁ」と言って
空に手を伸ばした。
食べられない、という事を伝えると
莉奈は、頬をふくらませて
「絶対食べられるから、今に見ててね!」と
背伸びをして雲を掴もうとしている。
どうしてもわたあめを食べたいという莉奈の期待に答えたくて
僕は、隠れてコンビニでわたあめを買った。
神社で歩き疲れた僕等は、いつものバス停のベンチに座って空を見る。
さっき買ったわたあめを莉奈に渡すと満面の笑みで「ありがとう」と
言って、わたあめを頬張った。
わたあめを食べ終わった莉奈は、また雲を見ては
「あれは、ソフトクリームみたいじゃないっ?、」
「本当に莉奈は食べるのが好きだなぁ。」
「だって美味しそうじゃん!」
夏が暮れても、僕は君のことをずっと覚えている。
君がいなくなっても、僕は君を忘れない。
君がいなくなった事に追いつけないまま時間が過ぎ去っていく。
「莉奈、大好き。」
口に出せないなら僕は一人だ。もうこの世界に莉奈はいない。
それでいいからもう、諦めてる、だけ。
夏の日。今日の雲も乾いている。思い出すあの夏の日の記憶。
目の前にある、卒業アルバムを見て思った。
結局写真なんて紙切れだし、思い出なんて、ただの塵でしかない。
写真の中で笑う、莉奈。
あの日から、僕には正解というものが分からない。
そんな事を思いながら制服に着替えると
ブレザーのポケットに見覚えのない紙が入っていた。
「絶えず、きみのいこふ記憶に夏野の石一つ。by莉奈」
確かに、この文字は莉奈の文字で間違いではなさそうだ。
僕は、その紙をぐしゃぐしゃにしてごみ箱に捨てた。
俯いたまま、大人になる僕。きっと君には追いつけない。
君の世界の空が晴れてくれてればそれでいい。
無心で学校に向かっていると、いつもある流れが急な坂がある。
今日もこれを上るのか、だるいなと考えていると、僕はある事を思い出した。
おい、待て。
三年前のあの日。
この坂を一緒に上った時に君にだけ影が見えなかったのは
気のせいではなさそうだ。
あの時から、きっと莉奈はもうこの世界に存在していなかったのだろう。
今の僕にやる事は一つしかない。
目の前にある高層マンションに入り屋上へ向かう。
そして僕はその場から飛び降りた。
目の前には、あの時の少女がいた。目に一杯涙を溜めて「日向の馬鹿ぁ」と言っている。
日が落ちる時間に僕等は同じ坂を上った。
手をつなぎながら。
僕達の影はどこにもなかった。
なぁ、これが証明になるだろ?
僕と莉奈はもうこの世界に存在しない事の。
僕は、ずっと探している。あの日、この世を去ったある少女を。
「莉奈。」
そう叫んでも、少女はもう戻らない。
なぜなら、君はもうこの世界の何処にもいないから。
今日もいつも通り、空を見ていた。
君は、空を見るのが大好きだったから。
雲や星座を見ては、詳しい知識を僕に教えてくれた。
今日の夜空はどこかで見た事がある様な月が浮かんでいる。
莉奈はあの雲を「海月みたいな雲だね」と呟いた。
海月、それは普通水の中で泳いでいる生物だ。
莉奈と歩いていると、古びたバス停を見つけた。
その横にある簡易的なベンチ。
後にこのベンチは僕らの休憩スペースになる。
バス停を覗くと、あの夏にいる少女が見えた気がした。
そう、あの夏の思い出を。
鳥居。乾いた雲。
僕の隣で笑顔を見せる君。
あの頃の僕は、まだ中学生だった。
神社を歩き、空を見上げると莉奈が
「あの雲は、わたあめみたいだよ、食べられるかなぁ」と言って
空に手を伸ばした。
食べられない、という事を伝えると
莉奈は、頬をふくらませて
「絶対食べられるから、今に見ててね!」と
背伸びをして雲を掴もうとしている。
どうしてもわたあめを食べたいという莉奈の期待に答えたくて
僕は、隠れてコンビニでわたあめを買った。
神社で歩き疲れた僕等は、いつものバス停のベンチに座って空を見る。
さっき買ったわたあめを莉奈に渡すと満面の笑みで「ありがとう」と
言って、わたあめを頬張った。
わたあめを食べ終わった莉奈は、また雲を見ては
「あれは、ソフトクリームみたいじゃないっ?、」
「本当に莉奈は食べるのが好きだなぁ。」
「だって美味しそうじゃん!」
夏が暮れても、僕は君のことをずっと覚えている。
君がいなくなっても、僕は君を忘れない。
君がいなくなった事に追いつけないまま時間が過ぎ去っていく。
「莉奈、大好き。」
口に出せないなら僕は一人だ。もうこの世界に莉奈はいない。
それでいいからもう、諦めてる、だけ。
夏の日。今日の雲も乾いている。思い出すあの夏の日の記憶。
目の前にある、卒業アルバムを見て思った。
結局写真なんて紙切れだし、思い出なんて、ただの塵でしかない。
写真の中で笑う、莉奈。
あの日から、僕には正解というものが分からない。
そんな事を思いながら制服に着替えると
ブレザーのポケットに見覚えのない紙が入っていた。
「絶えず、きみのいこふ記憶に夏野の石一つ。by莉奈」
確かに、この文字は莉奈の文字で間違いではなさそうだ。
僕は、その紙をぐしゃぐしゃにしてごみ箱に捨てた。
俯いたまま、大人になる僕。きっと君には追いつけない。
君の世界の空が晴れてくれてればそれでいい。
無心で学校に向かっていると、いつもある流れが急な坂がある。
今日もこれを上るのか、だるいなと考えていると、僕はある事を思い出した。
おい、待て。
三年前のあの日。
この坂を一緒に上った時に君にだけ影が見えなかったのは
気のせいではなさそうだ。
あの時から、きっと莉奈はもうこの世界に存在していなかったのだろう。
今の僕にやる事は一つしかない。
目の前にある高層マンションに入り屋上へ向かう。
そして僕はその場から飛び降りた。
目の前には、あの時の少女がいた。目に一杯涙を溜めて「日向の馬鹿ぁ」と言っている。
日が落ちる時間に僕等は同じ坂を上った。
手をつなぎながら。
僕達の影はどこにもなかった。
なぁ、これが証明になるだろ?
僕と莉奈はもうこの世界に存在しない事の。