無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「き、君は、怖くないのか?」
「綺麗だな〜と思っていますけど」
外を見ると青白い光が、曇り空を2つに割るように光っていた。ゴロゴロという地響きのような音が、街中に響いている。私達は馬車の中で向かい合わせに座っているが、目の前のグレッグは頭を抱えてふるえていた。
「俺は怖い」
「大丈夫です。雷はまだ遠いわ。私は襲いませんから、こちらにおいで〜チッチッチッ」
「猫みたいに呼ばないでくれ。行くけども」
昔のようにグレッグを呼び、隣に座らせ肩を抱き寄せる。ポンポンと腕を優しく叩くと、落ち着いたようでグレッグはふうっと息を吐いた。そういえば、一緒にいる時に雷がきたのは久しぶりね。子供の時はなにも考えていなかったけど、大人になった今、この体勢はよろしくないのでは……。