無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
ちらりとグレッグを見ると私の胸元に顔を押し付け、すうすうと規則正しい呼吸をし始めた。
「……」
この人、一応私の婚約者よね? 男女の立場が逆転しているのは今さらですけど、この状態で寝るなんて。私けっこう胸も人より成長しておりますし、何も思わないのかしら? 妙にモヤモヤした気持ちでグレッグの顔を胸にグイっと近づけるも、何も起こらない。
なんだかツキリと胸の奥が痛んだ気がしたが、気にしないことにして私も目を閉じた。
「おはよう! レイラ!」
「……おはようございます」
気づくと馬車は私の家に着いていて、にこやかなグレッグに起こされていた。