無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


「きれい……! 素敵だわ」


 このハンカチはお守り代わりとして持っていくことにしましょう。しかし、ありがたいと思う反面、自分のニセモノ加減に少し不安を覚える。グレッグは好きでやっているとはいえ、私はこのままでいいのかしら……。


 以前は全く気にしていなかったのに、最近はチクチクと不安が心を刺激する。理由はわかっている。私達は10歳から婚約しているけど、20歳になった今も婚約者のままだからだ。結婚式の話も進んでいない。それに昨日はあんなに顔が近づいていたのに、キスもしなかった。


「……結婚する気あるのかしら?」


 少し前お父様に結婚の進み具合を確認するよう頼んだはず。帰ったら聞いてみよう! そう決意して私はハンカチをバッグにしまった。



「ごきげんよう、レイラ様」
「ごきげんよう、カレン様」
「レイラ様、今日はレイラ様がご療養中に友人になった方を、ぜひご紹介させてください」


 今日のお茶会は顔見知りばかりだから大丈夫だと思っていたけど、1人だけ知らない方がいるみたいだわ。一気に不安がおそい、緊張してくる。庭のガゼボに案内されて行くと、そこにはケイティ様ともう1人知らない令嬢が談笑していた。


 カレン様に紹介され挨拶をしたのは、見事な金色の髪に青い目をした、人形のように可愛らしい令嬢だった。
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