無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


「私も聞きました! グレッグ様がレイラ様のために、たくさん本をプレゼントしていたとか!」
「まあ! 本当に素敵! 私の婚約者なんて、最近デートにも誘ってくれなくて……」
「私も同じですわ! 私の婚約者なんて誰か別の女性に会っているらしくて、婚約解消もありそうですの」
「「それに比べてグレッグ様は素敵だわ〜!」」


 どうやら昨日の事はあっという間に、噂として広がっているようだ。なんだか恥ずかしくなって、思わずハンカチで口元をおさえる。


「あら! レイラ様の刺繍、素敵ですね」
「流行りの色使いで、さすがです!」


 グレッグが作ってくれたとは、口が裂けても言えない。それでもこの刺繍が褒められるのは、グレッグが褒められているようで嬉しくなる。

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