無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

「刺繍といえばシャルロット様ね! 本当にお上手ですから」
「そう言っていただけると嬉しいです!」


 カレン様に褒められて頬を染める姿は、物語のヒロインのように目を引いた。派手な顔立ちではないけれど、不思議と目で追いたくなるのは天性のものなのでしょうね。


「シャルロット様はお菓子作りもお上手で、こちらのクッキーもお持ちくださったの」
「良かったらレイラ様もぜひ!」


 すすめられたクッキーを一口食べてみると、甘さ控えめでふわりと紅茶の香りが広がり、本当に美味しかった。キャラメルがかかったクルミが、良いアクセントになっている。私が褒めるとシャルロット様は大喜びしていた。その姿もとても愛らしく、表情がくるくる変わるので見ていて飽きない。


(……グレッグと話が合いそうね)

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