無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
そのあとのお茶会もグレッグが予想していたとおり、昨日の舞台や少女小説の話題が続いた。本当にグレッグの手紙で、予習したかいがあったわ! 少し忘れかけたところはあったけど、無難に過ごせたはず! なんとか今回もやり過ごせたことにホッとした頃、お茶会もお開きになった。
ようやく帰れると足取り軽やかに歩いていると、隣りにいたシャルロット様が「きゃっ!」と小さく声を上げ、しゃがみこんだ。
「大丈夫ですか?」
ドレスの裾でも踏んでしまったのかしら? そう思って手を差し出すと、シャルロット様は頬をほんのりと赤らめ私の手につかまった。
「……ですね」
「え? ごめんなさい。聞こえなかったわ」
シャルロット様は私の手を支えにゆっくりと立ち上がると、誰もが目を奪われるような微笑みで、予想していなかったことを話し始めた。