無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「だ、大丈夫です。それよりお父様こそ、どうしたのですか?」
「ほら、この前グレッグ君との結婚、どうなってるか確かめろと言っただろう」
そうだったわ! 今日帰ってきたら聞こうと思っていたのに、あんな事があったせいですっかり忘れてた。でもお父様の歯切れの悪さに、嫌な予感がする。
「その、なんだか、グレッグ君には考えたい事があるらしくて、もう少し待ってほしいそうだ」
「えっ……?」
「ちょっと私にもわからんのだが、まあ、すぐにおまえにも話がいくだろう」
「グレッグが私に話を……?」
どういうことなの? とお父様に何度聞いても、「知らない」「わからない」ばかりでどうしようもなかった。シャルロット様のことといい、グレッグのことといい、一気に問題ごとが押し寄せてきてクラクラしてくる。