無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


 今日はグレッグが作ってくれたバスオイルも、枕元のサシェも効果がない。何度寝ようとしても瞼にあの時のシャルロット様の微笑みが浮かび、気づけば朝になっていた。


 ようやく夜が明けた頃、グレッグに手紙を書こうとしたけど、なんだか心がざわつく。秘密が知られたことの相談もあるけど、結婚のことも直接聞きたい。空は曇り空で今にも雨が降りそうだったけど、どうしてもグレッグに会いたくて馬車を走らせた。


 騎士団の入り口に入ると、ここからは1人だ。グレッグと会うのに、こんなに緊張したことあったかしら? 夜の警備を担当していたと聞き宿舎に向かうと、ちょうどグレッグが戻ってきたところだった。ホッとして声をかけようとした瞬間、ドクンと胸が跳ね上がる。


 目の前にいたのは、グレッグとシャルロット様だ。


 なぜ2人がここに?どうして?


 2人の距離はとても近く親密に見える。隠れて見ているとシャルロット様の手がグレッグの胸元にいき、その手をグレッグが掴んだ。そしてシャルロット様がグレッグの胸元によりかかり、グレッグのもう片方の手はシャルロット様の背中にまわろうとする。


 シャルロット様はグレッグの胸元に顔をうずめながら、私を見てニヤリと笑っていた。
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