無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「私、本当にニセモノね……」
グレッグがいないと誰も近寄ってこないし、自分からは挨拶もできない。チラチラと見られているような気がするけど、もしかしたらみんなグレッグとシャルロット様の関係を知っているのかしら。私、憐れまれているのね。目の奥が熱くなり、涙が出そうになる。こんなところで泣くわけにはいかないと、奥に隠れグっとこらえているとファンファーレが鳴り始めた。
「これより騎士団の功績をたたえるメダル授与式を行う!」
「え? 授与式?」
(グレッグが戻ってこないのに、始まってしまったわ。私なんのためにこの夜会に参加したんだろう……)
人だかりに隠れるようにこっそり見ていると、国王陛下が姿を現した。王族が全員そろうと、ホールには緊張した空気が漂いはじめる。どうやらこの前行われた、武術大会の功績を表彰する式らしい。次々と名前が呼ばれメダルを受け取っていくたびに、会場は拍手や歓声に包まれ盛り上がっていく。
「最後に優勝者への授与だが、今年は大変なことが起こった!」