無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


「く、首根っこ……」
「令嬢には良くない態度だったが、彼女はちょっと頭がおか……それにさきほども……いや! こんな話はどうでもいい」


 なんだか所々聞こえづらいけど、本当に誤解だったのかしら? でも今日までの冷たい態度の意味がわからないわ。まだ不満が残っている私が見つめているのにも気づかず、「じゃああれは嘘か?」「でもあの口ぶりは……」とぶつぶつ言っている。私まだ怒ってるんですけど! それなのにグレッグはまた私の方を責めるように見始めた。


「それより、なぜ手紙に返事をくれなかったんだ?」
「え? 手紙? もらってませんよ?」
「10通以上は送ったが」
「……実は私も手紙を騎士団あてに送りましたけど」
「届いていない」
「……ということは」
「誰かがわざと、俺達を別れさせようとしていたみたいだな」


 私達は顔を見合わせ、うなずきあった。ようやく誤解はとけたけど、またひとつ問題が出てきてウンザリする。


(状況からして、私の家の者がしていたのよね。一体誰が……?)

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