無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「私はなにもできない、怠惰なニセモノ令嬢よ。無趣味であなたのことを、理解してあげられない。私はあなたにふさわしくないわ……」
グレッグは一瞬怪訝な表情をする。しかしすぐ誰に言われた言葉かわかったのだろう、彼は驚く速さで立ち上がり、私をぎゅっと抱きしめた。
「連絡が取れない時にそんなつらい思いをしていたとは……! 気づかなくて本当に悪かった! それにレイラはニセモノなんかじゃない! 俺のことを理解してくれるのは、君だけだ!」
(ああ……、やっぱりグレッグは私のことを一番理解してくれる。私が欲しかった言葉をくれるのは、彼だけだわ)
私は宙に浮いた腕を、そっと彼の背中にまわす。彼の熱い体温が私にじんわり伝わり、ひとつの塊になってしまいそうだ。グレッグは少し驚いた後、小さく「うれしい……」と呟いて、頭をスリスリと私に擦り寄せた。