無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない


「ハワード夫人、僕もレイラにすすめられて、乙女の誓いを読ませていただきました」
「まあ! あなたまで? 男性は読まないどころか、馬鹿にする方もいらっしゃるのに! 嬉しいわ」


「ええ、とても素敵な本で、夢中で読みましたよ。特にヒロインのシャーロットが婚約者に捨てられた後、健気に孤児院で働くところに心を打たれました。またシャーロットが襲われた時。121ページですね。現れた騎士団長のマルクのセリフですが――」

「え? え? そ、そんなに?」


 ちょっとグレッグ! 感想を一気にまくしたてるから、ハワード夫人引いているじゃない。彼の腕にぎゅっと力をこめると、その意味に気づいたグレッグは、とろけるような甘い微笑みで振り返った。
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