無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
「レイラ……!」
グレッグがさっきよりも強く、私を抱きしめる。しばらく彼の胸の中で幸せを噛み締めていると、グレッグの大きな手が、私の顔をそっと包み込んだ。彼の手は熱くしっとりしていて、心地よい。促されるままに顔を上げると、彼はほんの少し照れた表情で笑っていた。
「実はこれも夢だった」
そう言うと、彼の顔が近づいてくる。遠くでロマンティックな音楽が流れるなか、私達は初めてのキスをしたのだった。
ゆっくり目を開けると、グレッグは何か戦いに挑むような、やる気に満ち溢れた目をしていた。
「……あの、グレッグ?」
(おかしいわね。予想ではこの後、甘い雰囲気になると思ってたのだけど……?)