無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない
グレッグは拳をぐっと握りしめ、私に向かってさわやかに笑いかける。
「まずは結婚式の準備だな! 色はピンクで統一したい。教会にも花を飾り、招待状も凝ったものしよう!」
「は、はあ……」
「ドレスは、俺に任せてくれ!」
グレッグは鼻息荒くそう言うと、ドスっと音がするほど自分の胸を拳で叩いた。さっきまでのあの甘いロマンティックなグレッグは、どこに行ってしまったの? そんな私の戸惑いなどお構いなしで、彼の結婚式への熱い想いは止まらない。
それにしても、ここまで理想の結婚式があったとは。そのわりにいっこうに日取りが決まらなかったけど、もしかして……。私は思い当たったことをグレッグに尋ねると、彼はよくぞ聞いてくれた! とばかりに、輝くような笑顔で答える。