無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

 そこからは怒涛の展開だった。少しでも早く結婚式をしたいグレッグにより私は抱き上げられ、群衆の間を横切り馬車まで運ばれた。途中でグレッグが 「もう我慢できない!」と言うものだから、また新しい噂がたったのは言うまでもない。


 そのままグレッグの自宅であるラウザー邸に連れて行かれると、両家の親と仕立て屋が待っていた。「プロポーズ成功おめでとう!」と祝われたと思ったら、すぐに結婚式のドレスの採寸だ。聞けば教会や会場の準備は、すべてグレッグのお母様が手配済みだという。それでも数日後、あまりの忙しさに倒れてしまったけど。


 その頃の私はというと、自宅のクライトン伯爵邸に帰り、自分の荷物の整理をしていた。……といっても母が仕切ってメイドが準備してくれるので、私は横で見ているだけ。


 やることもないのでみんなの素晴らしい働きぶりを見ていると、メイドが1人減っている気がした。不思議に思って他のメイドやお母様に聞いても「わかりません」「そんな子いたかしら」という返事が戻ってくる。
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